それぞれの関係　夫の場合　4P

　そう言って山口はサイトのトップを表示した

　そこから『今週のランキング』をクリックすると・・・・あった・・・
　
　確かに・・・30位までランキングが出ている・・・あ、18位に入っている・・・
　しかもアクセス数がすごい・・・なんだ・・これ・・・
　こんなにアクセス数があるという事は、確かに会社や僕の事を知る誰かが見ている可能性が高い
　そうすると・・・僕が浮気をしている疑い・・あ、いや疑いでなくて事実か・・・
　とにかく知らない人間まで、「もしかして・・」と勘ぐってしまうわけだ
　その内に上司の耳にも入るかもしれない、何より奥さんに知られる方が怖い！
　あぁ、どうしたらいいんだ。誰も見ていない事を願うしかないのか！

　「おい、山田。これってかなりヤバイよ。まず、彼女にこの日記を閉じてもらうように説得しないとな」

　「ああ、そうするよ・・・だけどこの間別れたばっかりなのにさ、また顔会わす事になるななぁ～」

　「え？別れたの？」

　「あぁ、そうだよ。なんか面倒臭い事になりそうだったからさ」

　「ふぅ～ん・・・・そうかぁ・・・でもこの日記読んでみるとまだ続いてるような書き方だぜ」

　「うん、確かにね。でも別れたんだ。向こうはそう認めたくないから嘘書いてるんじゃないか？
　この日記にはまだまだ嘘が書かれていそうだ。とにかく全部読んで確かめてみるよ」

　「あぁ、そうした方がいいね。そして早く彼女と話をつける事だ」

　「わかった。ありがとう」

　自宅に帰って僕はその日記にアクセスした
　読めば読むほど身震いする
　まさに、僕だ
　そして、彼女の都合のいいように書かれている
　誘ったのは彼女からだったのに、彼女のしつこい誘惑に負けて僕は付き合ったのに・・・
　まるで立場が逆に書かれている
　そして、僕が彼女に惚れまくっているように書かれている
　妻とのセックスレスな関係まで書かれている

　ある男が面白くない夫婦性生活を送り、その中で知り合った魅力的な女性
　そして始まった淫靡な秘密
　二人は同じ会社、そして続く不倫な関係

　これは、他人が読んだら面白いだろうな～
　特に暇な主婦なんかが喜びそうな話だね
　小説なんかじゃない生のリアルな秘密の話に人々は密の味を求めてアクセスするわけだ！

　・・・・自分の事なのに、何客観的に納得してんだか？
　さぁ、これからどうしよ・・・まず彼女に連絡して・・・・
　あーあ、綺麗に別れたと思ったのに～！人生って上手くいかないなぁ～！

　「まだ仕事してるの？」

　妻が声をかけてきてビックリした

　「あー、うん。先に寝てていいよ」

　僕は慌てて画面を最小にした

　「じゃぁ、お先に・・・おやすみ」

　「うん、おやすみ」

　僕には守りたい幸せがあるんだ。その為に嫌でも彼女と話し合いをしなければならない・・・

　+back+

　+next+