それぞれの関係 夫の場合 3P
「・・・山田・・・ちょっと話があるんだけど・・・」
残業で残って仕事している僕に、同期の山口が声をかけてきた
なんだ?なんか深刻そーな話方だな
「ちょっと見て欲しいものがあるんだけど・・・」
山口が自分のデスクまで僕を連れていった
何を見て欲しいんだって?ん?パソコンを見ろって?
ふぅん?何何?
『カオルの恋の行方』
何?これ?誰かのHP?
あ、WEB日記って言うの?へぇ〜そう日記もネットの時代なんだね〜
え?そんな事はいいから読めって・・・?はいはい
「・・・・・・・・」
「・・・勘違いだったらごめんな・・・これ・・・お前の事じゃないよな・・・」
僕は震えた
山口の勘違いなんかじゃない
これは僕の事だ
このWEB日記には僕の事が書いてある
そして、この作者であろう人物は彼女だ
昨夜、別れた元セフレの彼女だ
きっとそうだ!!
はっきり確信出来る程、リアルに書かれている!
「お前さ、俺に前少し話してくれたよな。浮気してるって・・・それで、なんとなくお前って確信出来たんだよ」
僕は頭が真っ白になった
山口の言葉が、単語というか活字になってただ頭の中をよぎってるようにしか感じない
動機が早くなるのがわかる
マウスを握ってスクロールする手に変な汗が噴出す
「これWEB日記だよな。つまり全国の人間がこれを見れるわけだ。
これ、ちょっとあからさますぎないか?お前の事知ってる人間が読んだらすぐにわかるぜ・・この書き方じゃ・・・」
そうだ。そうだ。これはあまりにもオープンすぎる書き方だ
だって、僕なんかそのまんま実名だよ!
フルネームこそではないけど、しっかり「山田君」だもんな
会社だって、会社名は出てないけど、職種は書いてある・・・
会社の内部も細かく書いてある・・・・
僕の名前はそのまんまだし、僕の背格好なんかもそのまんまだ!!
これは・・・うちの会社の人間が読めばすぐにわかるくらい細かく書いてある・・・・
この作者「カオル」とは彼女の事だろう
しかし、彼女の名はカオルと連想するような名前ではないんだけどなぁ・・・
まぁ、いい。そんなハンドルネームなんてどうだっていい!
とにかく、これはマズイ!
先に見つかったのが山口でよかった
こいつはとても信頼出来る友達だ
だからこいつにだけは、彼女の事も話していたんだ
「ありがとう、山口。教えてくれて、これは・・・確かに僕の事だ」
「やっぱり・・、なぁ、俺がこうして見つけたくらいだ、もう誰か知ってるかもしれないぞ」
「確かにな・・・でも、お前なんでこれを見つけたんだ?」
「俺さ、色々なWEB日記読むの好きなんだよ。それでネットサーフィンしてる最中にこれを見つけたんだよ。
この日記人気あるみたいで、このサイトじゃ結構上位に入ってるぜ・・・。」
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