それぞれの関係 妻の場合 4P
衝撃だった
信じられない衝撃だった
私は身を乗り出すようにPCの液晶に釘付けになっていた
心拍数が上場するのがわかる
マウスを持つ手がどんどん冷えていくのがわかる
緊張で全身の血が固まりそうだ
あまりの衝撃に私は感情がなくなったのだろうか・・・・?
ただ、ただ、「驚き」という感情だけが頭の中をグルグルまわって
あとは、なんの感情もなかった
本当に何の感情も湧いて出てこなかった
私はネットで夫の浮気を知ってしまった
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そのサイトはWEB日記を公開するサイトだった
色々な人達が色々な日記を書いている
その中に夫の浮気を書いた日記があった
夫のフルネームは出ていないが、苗字は出ていた
よくある苗字だから仮名という事も考えられるが
その他に書かれてあるシチュエーションからすると・・これはもう夫そのものだった
そして、この日記は夫の浮気相手が書いている
いかに夫を愛しているか
いかに夫に愛されいるか
二人はお互い惹かれあいながら絶対結ばれない運命
何故なら・・・私という存在があるから・・・・
私さえいなければ夫は彼女と一緒になれる
誰からもとがめられず、秘密にする事もなく、日の当たる空の下で二人は抱き合える
そういう切なく甘い感情が日記から零れ落ちていた
PCの電源を落として、私はすっかり冷えたコーヒーを入れなおす事にした
インスタントコーヒーの瓶を取り出し、瓶の蓋を開けた
不思議と「怒り」などという感情は無い
「あぁ、そうか」という納得?したような、諦めの言葉が自然と出てきた
瓶からティースプーン1杯コーヒーをすくってマグカップに入れた
それからポットのお湯を注いだ
こんなに無感情でいいのだろうか?
ドラマで見るような夫の浮気を知り怒り狂う妻
そんな自分になれないのは何故なんだろう?
ポットからトポトポと流れ落ちるお湯
冷えたマグカップに暖かいコーヒーが入った
「セックスレスかぁ・・・・私には意味が無いって思ってたけど、夫には意味があったんだね・・」
今までの自分のご都合主義・楽観主義?に自分で飽きれてしまった
どこに目の焦点を合わすわけでなく、ぼんやりと部屋を眺めた
窓から青い空が見える
その青さが目に染みたのか、私は涙が出てきた
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